4月13日に開幕した大阪・関西万博の来場者数が6日に合計200万人を超えた。世界各国のパビリオンや多彩なイベントが多くの人を引きつける。その一つが会場シンボルの「大屋根リング」だろう▼1周約2キロ、高さ12~20メートル、外径約675メートルと世界最大の木造建築物としてギネス世界記録に認定された。建築家の藤本壮介氏は世界の分断が深まる中、「リング内に各国のパビリオンが入り『世界がつながる』というメッセージを強く伝える象徴的な存在」と設計意図を説く▼リングの一部を保存する方向で国、大阪府・市、経済界が調整に入った。維持費確保がネックで見通しは不透明だが、レガシー(遺産)として次代に残す価値はあろう▼過去に日本では5回の万博が開かれ、ほぼすべての施設が取り壊された。短期間の使用が前提だったからこそ実験的な建築を実現できたとも言え、近代建築の進化に大きく貢献してきた▼これまでの万博を会場計画や施設デザインの視点で俯瞰(ふかん)する展覧会「日本の万国博覧会1970-2005」が東京・湯島の国立近現代建築資料館で開催されている。第1部の会期は25日まで。