アスファルト合材の品質管理を徹底し、社会的信頼の回復に全力を注ぐ。社会ニーズに対応するための技術開発を加速させ、施工体制や各地域の投資動向なども踏まえた事業戦略を推進していく。働きがいがある職場づくりに取り組み、経営基盤を強化する。
--当面の課題は。
「設計図書と異なるアスファルト合材を使用し、失った社会的信頼の回復に努めることが喫緊の課題だ。道路舗装会社は工事を行うだけでなく合材も製造し、自社の施工現場で使ったり他の舗装会社に販売したりして道を造っている。合材事業の信頼を回復しないことには会社のなりわいが成り立たなくなってしまう。全社を挙げてできるだけ早く実現できるよう努めていく」
--市場環境をどう見る。
「舗装の事業量は国内の建設総投資とほぼ連動する。今後も国土強靱化などの投資が見込まれ、急激に減ることはないだろう。ただ国内全体の合材出荷量は年々減少しており、中長期的にも伸びるとは思っていない。厳しい競争環境の中で生き残っていかないといけない」
--経営の戦略や目標は。
「今期の受注高は繰り越し工事が例年よりやや多くある状況などを考慮すると、期首時点で前期と同等か微減を見込んでいる。売り上げも前期と同等くらいだろう。利益は前期落ち込んだ合材製造部門の回復を目指す。そのためにも合材販売価格の適正化を図るなど、量から質を重視する経営モデルに見直したところだ」
「施工体制や各地域の投資動向などを見ながら、業績も含めた中長期的に目指すべき方向性を打ち出していきたい。引き続き地域に根付いた事業を展開しつつ、国や高速道路会社の大規模な工事を受注するための技術提案に一層注力するほか、道路事業を中核にした領域拡大なども検討していく必要がある」
--多様化するニーズへの対応は。
「埼玉県久喜市に昨春開設した『技術開発総合センター』も活用し、生産性向上や二酸化炭素(CO2)削減といった時代のニーズに合った技術開発を加速させる。環境対策が重視される時代にあって、再生材の利用率向上も業界全体で考えていかないといけない課題だ。その中で当社が一つの役割を果たせるようにする」
--担い手の確保は。
「人材をしっかり確保し、定着するように魅力ある業界、企業にしていかないといけない。全社員が鹿島道路に入社して良かったと思えるよう賃上げや、頑張った成果が反映される仕組みも必要だ。明るく前向きな雰囲気の組織を目指す」。
(4月1日就任)
(こどい・みつはる)1983年名古屋大学大学院修了、鹿島入社。執行役員、常務執行役員土木管理本部プロジェクト推進統括部長、同土木管理本部副本部長兼馬毛島総合工事事務所長などを歴任。趣味の一つである読書は「教養を身に付け視野を広げる大切さ」を説いた上司からの勧め。広島県出身、66歳。