回転窓/熱意と努力が支える人気

2025年5月15日 論説・コラム [1面]

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 山口県の南西部にある山陽小野田市はセメント町という地名があるほどセメント産業と関わりが深い。セメント樽(たる)を模したもなか「せめんだる」は、藤田剛二市長もお薦めの市民に愛される銘菓だ▼明治時代、セメントは木製の樽に詰めて工場から出荷されていた。せめんだるはその名の通りセメント樽がモチーフ、地元で定番のお土産だった。コロナ禍の影響で一時は店頭から消えてしまったが、市内のパン店が「復刻せめんだる」としてよみがえらせた▼現在山陽小野田にはまちづくりの視察が全国から相次ぐ。土地を現物出資した市と資金を出した民間が設立した共同事業体(LABV)による施設整備が注目されている▼市有地に整備した複合施設は市民活動の拠点としてにぎわい、商工会議所や金融機関が入居。大学生の寮にもなっている。LABV方式は公共施設の老朽化対策や公有財産の活用策として期待が高まる▼パン職人は国内有数のあんこの名人に師事するなどして銘菓の復活にこぎ着けた。同方式の実施では市と議会が対立しながらも議論を尽くした。銘菓も政策も人気の裏側には熱意と努力がある。

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