節目の年齢を目前に、これまで苦手と決めつけていたことに挑もうと思案を始めた。避けてきたことは多いが、どんな分野も自由に学べるフィールドは広がっている▼日本学術会議を現行の「国の特別の機関」から切り離し、特殊法人に改編する新しい日本学術会議法案が13日衆院を通過した。参院での審議を経て、今国会で成立する見通しとなった▼首相が任命する監事が活動内容や財務を監査するなどと定める法案に対し、学術会議側は独立性が損なわれるなどと懸念して修正を求めている。同日の会見で林芳正官房長官は「学術的な活動の価値、内容に立ち入ることは所管事務上できず、アカデミーの自由な活動を阻害するものではない」と説明した▼海外に目を転じても学術界を取り巻く環境は変革期を迎えている。米国は「(政治の)学問への不介入」という歴史を持つ。だが技術革新や人権、平等を支えてきた学問に対する原則は現政権によってどうやら揺らいでいるようだ▼自分の好きな学びに、好きなだけ時間を使うことができる。それが自由であり豊かさでもあり、科学技術や経済の発展、文化醸成の源泉となる。