堺市は中百舌鳥駅前北側広場(北区)の再整備に向けた事業者公募を2025年度中に実施する方針で、公募条件の精査を進めている。当初は24年度末の公募開始を予定していたが、民間事業者の参画可能性を慎重に見極める必要が生じたため、公募時期を先送りした。
市は交通結節点である駅前空間を「ひとが集い、つながる場」として再構築することを目指しており、機能拡充と拠点施設導入を柱とする構想に対して、事業者の参入意欲を高める公募条件づくりを急いでいる。特に導入を想定する商業・業務・交流機能を備えた拠点施設の規模や配置に直結する容積率など、都市計画変更も視野に入れた制度面の調整が必要となっている。
対象となる駅前広場は約7100平方メートル。南海高野線、泉北高速鉄道、大阪メトロ御堂筋線が交差する中百舌鳥駅の北側に位置し、1日約6万人が利用する。現地は通勤・通学時間帯を中心に混雑が激しく、公共交通の乗り継ぎ環境や歩行者動線の改善が急がれる。
24年度に策定した再整備基本計画では民間活力の導入による拠点施設の整備に加え、ロータリー上空を活用した歩行者デッキの整備、公衆トイレや喫煙スペースの設置、駐輪場の再配置などに取り組む。交通実態調査を踏まえてロータリーのゾーニングも見直し、公共交通と一般車の動線分離、バリアフリー対応の乗降スペース確保、次世代モビリティの活用にも対応していく。
駅前空間の再編を「中百舌鳥イノベーション創出拠点形成」に向けたリーディングプロジェクトと位置付け、駅前広場の魅力と利便性を高めることで、周辺の未利用地や北部エリアも含めた面的な活性化につなげる。