25年参院選職域代表・見坂茂範氏に聞く/事業量確保と賃金アップへ

2025年5月20日 人事・動静 [1面]

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 建設産業の職域代表として今夏の参院選で初当選を目指す見坂茂範氏(自民党公認候補、元国土交通省近畿地方整備局長)が日刊建設工業新聞などの取材に応じ、「建設業の事業量確保と賃金アップが役割」との考えを改めて示した。1人でも多くの人に話を聞いてもらう全国行脚は2周目に入り「手応えを感じる」という。各地で建設産業に携わる人たちの声を受け止め、「夢のある仕事に多くの若者が入職し、生き生きと働けるようにするのが私の使命」と意気込んだ。
 地域を支える建設会社などの安定経営に貢献するため「事業量確保」に率先して取り組む方針。事業量確保には「毎年の予算編成が大事になる」とした上で、「期待に応えられるよう頑張りたい」と述べた。
 政府が検討中の国土強靱化実施中期計画(2026~30年度)の動向を注視。現行の国土強靱化5か年加速化対策は5年で15兆円規模だったが、政府は4月公表の素案で計画期間内の事業規模を「おおむね20兆円強」と見込んだ。見坂氏は「物価高騰分は上乗せできた」とした一方、「個人的にはもっと必要という思いはある」と述べた。
 建設産業が直面する課題として「他産業に比べてまだまだ賃金水準が低い」との認識を示した。「初任給だけでなく、(建設産業で)働く人全体の給料が上がっていくことが必要」とし、賃金アップの重要性を指摘。「利益率の良い業界にしたい」と述べ、歩掛かりの見直しなどの必要性を説いた。
 利益率向上には「(公共工事設計)労務単価の引き上げだけでは不十分」と見る。低入札調査基準価格や最低制限価格の引き上げ、現場管理費改定改などによる予定価格の上昇なども挙げながら、施工効率が落ちる夏場の工期・工程や歩掛かりを「実態に即して見直す」ことを求めた。地方自治体発注の小規模工事の歩掛かりの改善にも言及し、「小規模工事は国が歩掛かりのひな形を示すべきだ」との見解を示した。
 利益率改善に向けた課題の一つとして民間建築工事を挙げた。建築工事は専門工事の職種が多い上、人手不足も深刻な状況が続く。「人手不足を解消するためにも利益確保が不可欠」と指摘。「下請にもきちんとお金が回るためには、まず元請が利益をしっかりと確保する必要がある」とし、その実現へ環境整備に意欲を見せた。
 原材料の高騰や労務費の上昇に対応するには、契約変更協議の適正な実施が重要性とし、「発注者と受注者が本当に対等な立場で契約協議ができるよう商習慣を変えていく必要がある」と主張。改正建設業法に盛り込まれた標準労務費の設定についても「後押ししていきたい」と話した。
 少子高齢化を踏まえ「外国人材に頼らざるを得ない」と見ている。「働く意欲のある人がもっと日本に来てもらえるよう規制を緩和し、入ってきやすい環境をつくっていくべきではないか」と受け入れ環境を改善する重要性を強調。技能者だけでなく、技術者としても活躍してもらうための仕組みづくりも進める考えだ。