日が暮れて肌寒くなった春先の夜、近所にある公園のブランコに男の子がぽつんと座っていたことが何度かあった。知り合いと一緒に声を掛けると、親とのトラブルで家を飛び出したという▼どうしたものか悩んだ末、民生委員に相談すると、通っている学校の関係者らに連絡を取り、迎えの人が来てくれることになった。家を出るという行動がその子にとってのSOSだったのだろう。人目のある公園を行き先に選んでくれて良かったと、今も話題になる▼大型連休が過ぎて子どもが人を傷つける事件が地域で続き、その一つは全国規模の大きなニュースにもなった▼事件を受けて保護者宛てに教育委員会が配信したメールには「不安そうな時には、そばで寄り添うなど安心できるようにしてください」と書かれていた。子どもの心や家庭への気配りと早い対応に感心しつつも、寄り添う人が周囲にいない子どもは一体どうなるのだろうと考えさせられた▼民生委員は声掛けに感謝してくれて「みんなで見守りましょう」と話していた。救われた子が救う側に回れるように。気づきと優しさは職場にも通じるところがあると思う。