東日本と中日本、西日本の高速道路会社3社は22日、維持管理、修繕の事業量増加やコストアップに伴い、国に対し安定的な対策費や財源の確保を国に求めた。東日本高速会社は、2024年時点で土木部門平均で資材価格が20年から33%、舗装修繕工事の発注単価が1平方メートル当たり28%上昇したことを報告。本州四国連絡高速道路会社(本四会社)も、国内橋梁メーカーの撤退などの課題を挙げ、国内外の大規模な架橋事業や老朽化対策によって、業界全体で技術継承や人材育成に取り組むよう求めた。
東日本高速会社は06年から24年までの18年間で、料金収入が1・3倍になる一方、維持管理修繕費は2・9倍、修繕費は10倍に増えたと説明した。毎年、点検に伴う損傷が見つかり、補修が追いつかず残存損傷となる箇所が増加している。労務費や資材費を含む管理費用が直近4年で大きく上昇。金利上昇により利払いが増加し維持管理修繕費への充当が実質的に減っているとして、安定的な維持管理修繕費の確保を要請した。
維持管理に関し中日本高速会社は、橋梁の特定更新事業の進展状況を報告した。床版工事の契約率は53%、桁工事は52%、土構造物修繕は7%、トンネル修繕は26%(いずれも25年3月末時点)になった。同社は物価と労務費の高騰、老朽化や大雪といった社会環境の変化から、事業費と財源を確保するための検討が必要と提案した。脱炭素対策の財源の必要性も強調した。
西日本高速会社は、20~24年度に建設資材価格指数が約4割上昇したことから、高速道路事業の財源確保を要請。建設資材・労務単価の変動に対応し高速道路事業の在り方検討も求めた。本四会社は長大橋の長寿命化、維持管理技術の開発、長大橋管理者との情報交換などを提案した。
各社は22日に国土交通省が開いた「高速道路機構・会社の業務点検フォローアップ検討会」で現状を説明。国交省の山本巧道路局長は検討会で「今年は道路関係4公団が民営化されてちょうど20年目の節目。高速道路を取り巻く情勢は変化しており、各社の取り組み状況をフォローアップしていきたい」と述べた。今後、首都高速道路会社と阪神高速道路会社にもヒアリングし、今夏に結果を取りまとめる。成果は社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)道路分科会国土幹線道路部会に報告する。