国土交通省は直轄土木工事の建設機械施工で次世代燃料の使用を求める「ゼロエミッション促進モデル工事」を2025年度に開始する。化石燃料以外の「バイオ燃料」や「合成燃料」を軽油の代替燃料として使用し、建設現場から直接排出される二酸化炭素(CO2)を削減する。ICT建機を活用した工事の中から発注者指定で対象案件を選定する予定。次世代燃料の導入によるコストアップ分を発注者が負担する。
国交省が4月公表した直轄土木工事の「脱炭素化アクションプラン」に沿った取り組み。次世代燃料が軽油の代替として普及すれば、既存のディーゼルエンジンをそのまま活用できることもあり現場の脱炭素化へのインパクトは大きい。現状では導入コストがネックとなるため、国交省がモデル工事で使用を後押しする。
モデル工事では軽油の代替として非化石燃料の使用を求める。このため天然ガス由来の燃料などの使用は認めない。軽油と混合した燃料の使用は認めるが、その場合は軽油以外の非化石燃料を5%を超える割合で混合することを条件とする。実際に使用する燃料は、建機メーカーの推奨・認定が必要。次世代燃料を導入する代わりに、電動式のGX建機認定型式を用いることも可能とする。
次世代燃料には生物資源を原料に製造するバイオ燃料や、CO2と水素を合成して製造する合成燃料がある。主に廃食油を原料としてメチルエステル化処理で製造するFAME(脂肪酸メチルエステル)などが従来から知られている。これ以外に植物油などを水素化分解したHVO(水素化処理植物油)は、燃料の性状が軽油とほぼ同じで使用に適しているとされ、近年になって製造・利用が開始されている。