三井住友建設は山岳トンネル工事発破作業の生産性向上策として、AIで発破パターンを自動選定する技術を開発した。熟練トンネル特殊工の暗黙知を活用し、発破孔の削孔や装薬の際に得られるさまざまなデータをAIに学習させることで、地山状況に適した発破パターンを自動で選定、提案する。熟練工の視点による発破作業が可能となり、担い手不足の解消や発破作業の効率化、安全の向上につながると見る。
AIを活用した発破パターンの自動選定技術は「AI de 先ヤマ(発破編)」として、ユニアデックスの協力を得て開発した。三井住友建設が開発するトンネル施工の生産性向上技術「SMC Tunnelingシリーズ」の新たな技術になる。
掘削ごとに取得した削孔・装薬データを基に、切羽に適した削孔の位置や角度、長さ、装薬量といった発破パターンをAIが選定する。発破パターンの選定後はナビゲーション機能付きのセミオートドリルジャンボでモニターに表示されたパターンに合わせ手動で発破孔を削孔。フルオートドリルジャンボでモニターに表示し自動で削孔していく。
現地条件に合わせた適切な発破パターンを提案することで、トンネル掘削速度の向上や削孔数、装薬量の減少、地山の緩みを最小化し、トンネルの変形や沈下を抑制、地山の損傷を最低限に抑えるなどとして肌落ちを防止する。切羽の余掘りや当たりの少ない熟練工が行う効率的な発破作業が可能となる。
三井住友建設は、新技術を実際の現場に積極適用していく。削孔・装薬時に得られるさまざまなデータを収集し、熟練工を超える削孔位置や最小装薬量の予測、提案を目指す。AIモデルの精度向上やシステム改良を図り、同社施工トンネル現場の生産性向上技術として確立させる。