◇建設向け金属3Dプリンターも公開
大林組らは迅速で容易に更新可能なユニット方式のRC製高機能化舗装「マルチペイブ」を開発した。下面に溝を設けた路版同士を敷砂上に設置したゴム付き連結板で固定する構造。目地には砂を使用しておらず、アスファルト舗装の代替として迅速、容易に交換できる。交通上の注意喚起を促す発光機能や、豪雨に備え透水・排水機能などの付加にも対応し、道路インフラのさまざまなニーズや価値向上に貢献する。今後は早期の社会実装に向け、できるだけ公道に近い環境で施工実証に取り組んでいく方針だ。
19日に東京都清瀬市にある同社技術研究所内で施工実証しているマルチペイブのモックアップ(原寸模型)を公開した。トヨタ自動車未来創生センター(愛知県豊田市、古賀伸彦センター長)や豊田中央研究所(愛知県長久手市、志満津孝代表取締役所長兼最高研究責任者〈CRO〉)、大林道路と共同開発した。
路版1枚当たりの重量は約115キロ。5トン級のコンパクトなクレーン機能付き油圧ショベルで設置や取り外しができる。技研では幅3・9メートル×長さ6・6メートルのモックアップを構築。ゴム付き連結板で固定する構造であるため段差が生じにくく、重量約20トンのダンプトラックによる走行実験ではアスファルト舗装と変わらない耐久性能だった。走行実験後に行った路版の取り外しから再設置までの交換作業も約5分で完了している。
路面発光表示機能も歩行者を感知して路版に埋め込まれたLED光源が点滅し、ワイヤレス給電も正常に機能してレンズに大きな損傷がなかったことなども確認。透水・排水機能の試験では、上層に厚さ30ミリのポーラスコンクリート、下層に同100ミリの密実コンクリートで構成する路版で注水開始から約8分後に排水量とほぼ均衡し、時間雨量100ミリ程度の降雨にも排水機能が働くことを実証した。
同日、技研で炭素鋼やステンレス鋼を造形する建設向け金属3Dプリンターのモックアップ「ザ・ブレンチ」も公開。ロボットアームのアーク溶接による積層造形方式を採用し、材料の組み合わせや溶接パラメーターの工夫もありスラグが生じない溶接での造形を実現した。
引き続き金属部材で特殊形状や多品種少量生産のニーズに対応できるよう、低コストで短工期の製造方法を構築していく。