台湾社会の発展へ-熊谷組「華熊営造」創立50周年・中

2025年5月27日 台湾社会の発展へ-熊谷組「華熊営造」創立50周年 [3面]

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 ◇超高層複合ビル「台北ツインタワー」/台湾発展の起爆剤に
 華熊営造が台北市内で施工している超高層複合ビル「台北ツインタワー」は、台北駅周辺で進む再開発事業の目玉プロジェクトだ。地下4階地上53階建てのC1棟(高さ約290メートル)と地下4階地上70階建てのD1棟(高さ約370メートル)で構成する。2棟は空中通路で結ぶ設計で、台北駅から人の流れを呼び込む。台北市の新たなランドマークとなり、将来的には駅前再開発による地域全体の発展の起爆剤として機能する。
 構造はS造で、外装はカーテンウオールを採用している。基本設計は米国大手のSOM建築設計事務所、詳細設計は台湾現地の設計会社、構造設計は台北101の構造設計を担当した会社が担う。華熊営造と地元の台湾ゼネコン2社との3社JVで施工。C1、D1、商業エリアの「PODIUM棟」、目の前の公園、台北駅との連絡通路などの工事を進めている。
 設計コンセプトには▽台湾の新たな玄関口、台北の新たな歴史の始まり▽歴史軸を統合して台湾のイメージを表現する▽台北プロムナード▽一般に公開されたリビングルーム-などを掲げている。現場を指揮する阿部高広所長(華熊営造)は「設計コンセプトを大事にしている。設計者と事業主が何を作りたいかをイメージして施工している」と話す。
 都心で厳しい施工条件が重なる敷地。「道路の上に浮かして建物を建てるのが難しく、1日も通行止めが許されないため難度の高い施工となる」(阿部所長)。幹線道路をまたいでの施工となるほか、現場を取り囲むようにMRT(都市高速鉄道)が走る。軌道を囲んで地下工事を行うため、毎日リアルタイムで鉄道トンネルの変異を観測。軌道への影響の有無を確認しながら慎重に施工している。
 阿部所長は「交通量を止めないで仕事を安全に進めるのが使命だ。(建築物は)下から見るとまっすぐなところがなく、上から見ても横から見ても曲線になる。PODIUMは美しくて難しい。出来上がった後は、多くの人が訪れる場所になる。とても楽しみにしている」と話し、28年の完成目標に向け着実に工事を進めていく。