成田空港会社/滑走路整備へ用地確保を加速、国・県・3市町と協議会立ち上げ初会合

2025年5月29日 行政・団体 [5面]

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 成田空港会社は、滑走路の延伸・新設に向けた用地確保を加速する。27日、同社と国、千葉県、空港が立地する3市町でつくる協議会が発足した。地権者対応や代替地の確保、埋蔵文化財調査の円滑な実施などに関する取り組みを進める。2026年3月末までに用地確保のめどをつけたい考え。同社の田村明比古社長は「緊密に連携、協力して着実に前に進めていきたい」と述べた。
 「成田空港滑走路新増設推進協議会」の初会合を同社本社で開催した。田村社長をはじめ、熊谷俊人千葉県知事、小泉一成成田市長、麻生孝之芝山町長、平山富子多古町長が出席。国土交通省の平岡成哲航空局長はオンラインで参加した。
 会議では同社が滑走路整備の工事概要や用地確保の進捗を報告。協議会として事業推進に協力する方針をを確認した。今後は体制の強化を図るとともに、地権者との契約に必要な条件の整備などに注力する。
 会議終了後、熊谷知事は「しっかり情報共有し合いながら、28年度末の供用開始という大きな目標に向かって協力していきたい」と述べ、関係機関の連携強化に期待を寄せた。
 地権者の移転代替地の確保や整備に関し、田村社長は「地権者の方々は個別にさまざまな事情がある。丁寧に寄り添い、ご理解をいただきながら進めていく」と話した。麻生芝山町長は「行政手続きがスムーズに行われるよう、しっかりと取り組んでいく」と地方自治体としての支援姿勢を示した。
 成田空港会社は、滑走路整備で年間発着回数を拡大する「更なる機能強化」事業を進めている。既存のB滑走路は3500メートルに延伸し、C滑走路(延長3500メートル)も新設する。必要な用地は約1100ヘクタールで、このうち8割超の用地が確保できているという。4月に国交省を訪れた田村社長は、中野洋昌国交相から空港周辺自治体の協力を得て用地確保の具体策を検討・実行する場を設けるよう指示を受けていた。