□1Fは「1TTAN(いったん)」に/好奇心を刺激する仕掛けも□
中央復建コンサルタンツが2021年から社員一丸で取り組んでいる本社(大阪市東淀川区)のオフィスリニューアル。その初弾として1階ロビーと4~7階の執務フロアが完成し、社員の思いが詰まった空間へ生まれ変わった。1階は何かを始めるきっかけになる「好奇心」を促す合言葉から連想し「1TTAN(いったん)」と命名。開放的な空間で自然と交流やアイデアなどが生まれる。好奇心を刺激する仕掛けが随所にちりばめられている。
「新しいオフィスと共に社員の意識と行動を変えていくことが真の狙い」と話すのは計画系部門の中矢昌希技師長。21年に部門横断のタスクフォースを結成し「当社の価値向上や社員のウェルビーイング向上につながるオフィス環境の在り方を模索することからスタートした」(中矢氏)という。
足かけ4年、フィールドワークや全社懇談会、ワークショップ、理想の働き方と空間のための社内実験など、外部パートナーを含めた活発な活動を通じ、思いを“カタチ”にしていった。設計を経て24年7月から工事を進めてきた。
入社2年目で24年度からタスクフォースに参加した鉄道部門地下鉄道グループの森本夏美氏は「みんなの熱意がすごく、自分もモチベーションが上がった」と振り返る。
「1TTAN」は新たな発見や出会いへ“一旦”立ち寄ってみる。相手の意外な“一端”を知る。誰かとつながりチームの“一端”になれるなどの思いが込められている。トークイベントや展示など多用途に使える「パーク」、多面的な映像共有でアイデアやコミュニケーションを誘発するスタジオ「Xスタ(クロスタ)」、会議室「Cスタ」などを設けた。
複数配置された本棚には仕事に直接関係がないインテリアやエッセー、詩集、絵本など約200冊が並ぶ。1人暮らしの若手社員には料理のレシピ本が人気だ。伐採樹木を資源として再生したカウンターも存在感を放っている。
環境・防災系部門流域治水グループの大角和輝サブリーダーは玄関からロビーに抜ける開放空間がお気に入りで「ゆとりは無駄と紙一重だが、ここは空間の価値を高めている」と絶賛。構造系部門橋梁・長寿命化グループの加藤慎吾プロジェクトマネージャーも「用途を絞らず、緩やかに空間も人もつながっている雰囲気がいい」と話す。
執務フロアは「以前は部門間で見えない壁のようなものがあった」(中矢氏)と言い、一体感を意識し机の配置などを工夫。ハイテーブルやカーテンで緩やかに仕切られたミーティングルーム、オープンな会議空間「チームミーティング」、ソロブースなどを設けた。
25年度に屋上と8階にある中庭、26年度に執務フロア(3、8階)のリニューアルを行い一連のプロジェクトが完結する。
※役職は4月時点。