熊本県菊陽町は、公共交通の活性化に関する中長期の取り組みを示す「菊陽町地域公共交通計画」をまとめた。計画期間は2029年度までの5カ年。JR豊肥本線の各駅から半導体企業が集積するセミコンテクノパークまでのアクセス改善では、広域的なBRT(バス高速輸送システム)の導入を検討。豊肥本線の輸送力強化のため、複線化や原水駅の設備改良などをJR九州ら関係者と協議していくとした。
同町は半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の進出に伴い、関連産業の集積が顕著だが、公共交通の利用が低調であり、平日の通勤時間帯や休日日中の交通渋滞が課題となっている。原水駅などの周辺で計画されている土地区画整理事業による開発が進展すると、町内の交通渋滞や熊本市方面からの豊肥本線の混雑がさらに激化することが懸念される。
これらの課題を受け、同計画では豊肥本線三里木駅~原水駅間で計画されている新駅を核に、二次交通体系の構築や同線の輸送力強化を推進。進展する街づくりと連動した公共交通の充実を図るとした。
豊肥本線の輸送力強化に向けては、町内にある駅で唯一、上下線の同時進入ができない原水駅について、増便のために同時進入化の設備改良を実施。これ以外の光の森、三里木の2駅を含めて車両数増結や安全性向上につながるホーム拡張、駅舎改良を関係者と協議・検討していく。