広島市中区の平和記念公園周辺の高潮対策を検討していた有識者委員会(委員長・中村良夫東京科学大学名誉教授)が提言書を取りまとめ、内田龍彦副委員長(広島大大学院教授)が26日、中国地方整備局太田川河川事務所の金銅将史所長に手渡した。河川区域だけでなく、公園との一体的整備が必要とし、早期かつ短期間での整備に努めるべきだとした。一部では浸水をある程度許容する柔軟な考えも必要とした。
元安川と旧太田川に挟まれた同公園周辺は堤防の高さが低く、高潮が発生すると浸水する恐れがあり、同事務所は堤防をかさ上げするなどの高潮対策を計画している。ただ、高潮対策は治水だけでなく、景観や水辺の利活用、文化財、街づくりなどの視点からも検討する必要があり、学識者による「平和記念公園周辺高潮対策検討委員会」を設置し、高潮対策のあるべき姿とその実現方法について議論した。
提言によると、原爆ドーム付近の護岸のかさ上げは景観や雁木(がんぎ)、園路への影響が大きいため、地盤高の高い公園敷地部を含めた改修とする。浸水から守ることは困難なため、水位上昇時は一部の浸水を許容するなど柔軟に考え、現在の景観を保全する計画が望ましいとした。
元安川左岸は園路部のかさ上げと既設護岸のかさ上げを取り入れた複合的な改修案を求め、対岸は公園と園路部のかさ上げを一体的に行い、のり面の勾配や構造などを組み合わせた改修が必要とした。旧太田川左岸は道路部のかさ上げが困難なため、堤防部のかさ上げが望ましいとした。対岸は歩道部を含む一体改修を求めた。原爆被害者の慰霊碑や樹木は、できる限り浸水させないようにすべきだとした。
オンラインで出席した中村委員長は「いろいろな課題はあるが、市民の応援をお願いしたい。新しい世界を広げてほしい」と述べ、金銅所長は「この場所の価値を守り、市民の安全を確保するのが目標であり、一日も早く高潮対策を完了できるよう関係機関と連携しながら取り組んでいく」と話した。







