東京都心部にある名建築などを特別公開する大規模イベント「東京建築祭」(実行委員会主催)が今月、東京都千代田、中央区を中心に開かれた。今回が2年目の催し。▽大手町・丸の内・有楽町▽上野・本郷・湯島▽神田・九段-などにある歴史的建物や近代建築を対象に、無料の特別公開やガイドツアーを行った。17~25の9日間(メインイベントは24、25日)に150以上のプログラムを開催。東京のまちと建築を満喫してもらった。
大手町・丸の内・有楽町エリアでは明治生命館を特別に公開。普段は非公開の7階講堂を特別に見学可能にした。明治生命館と隣接する明治安田生命ビルを緩やかにつなぐアトリウムでは、明治生命館の姿を一望できる大型石こう模型や、ディテールの資材などを特別展示した。
上野・本郷・湯島エリアでは東京国立博物館日本庭園茶室、旧岩崎邸庭園、東京大学理学部2号館などを特別に公開。国立博物館本館の奥に広がる日本庭園にたたずむ茶室を特別公開。春草廬と転合庵、六窓庵は普段閉じている扉を開け、九条館は内部への立ち入りを可能にした。
神田・九段エリアでは安井建築設計事務所東京事務所、パレスサイド・ビルディングなどを特別公開した。築約60年のオフィスビルをリノベーションした安井建築設計事務所東京事務所では、まちと混ざり合う新しいオフィス空間を体感。移転計画に関わった設計者と巡る「美土代クリエイティブ特区オフィスツアー」や、1枚の紙で建築(東京国際クルーズターミナル)をつくる「折り紙建築ワークショップ」を実施した。
その他エリアでは、NOVARE Archives(清水建設歴史資料館)を特別公開したほか、日建設計東京オフィス(本店)で特別展示を行った。
建築家や設計者と名建築を見学するようなガイドツアーを数多く開催。書店フェアやワークショップ、オンライン配信での事前学習など、建築の専門家から初心者まで幅広く楽しめる多彩なイベントも実施した。
実行委員長を務めた建築史家の倉方俊輔氏(大阪公立大学教授)は、関係者への謝意を示した上で「公共や教育機関など、当初は困難と思われた種類の建築にも参加いただいた。和風建築や、通常であればインテリアや土木に属するとされる対象も加わって、私たちがつくり、私たちをつくっている環境を幅広く再考する機会となった」とコメント。3年目の開催に意欲を示している。