回転窓/幸福度って何だろう

2025年6月3日 論説・コラム [1面]

文字サイズ

 1986年、人気タレントの明石家さんまさんを起用したCMがテレビで流れていた。調味料の容器を手に歌っていたのは「幸せって何だっけ 何だっけ~」。当時の日本は内需主導の好景気に沸いていた▼英オックスフォード大学のウェルビーイング研究所が2012年からまとめている「世界幸福度報告書」の25年版が公表された。国民1人当たりの国内総生産(GDP)や社会的支援、健康寿命などの項目を数値化して順位付け。1位は8年連続でフィンランド、上位には福祉制度が充実している北欧各国が並び、日本は147カ国・地域の中で55位だった▼G7諸国で最下位という結果の受け止めはさまざまだが、なんとなく閉塞(へいそく)感が漂うご時世を考えると、「さもありなん」というのが正直な感想かもしれない▼国民の生活基盤を支える建設業は幸福度のアップに寄与できる可能性を秘めている。都市と地域の魅力を高める上で果たせる役割は決して小さくない▼大所高所の話はいったん脇に置き、幸福度のアップは建設業界からという視点で、労働環境の改善や働き方改革を再考するのはいかがだろうか。