土木学会/DEI行動宣言を公表、認め合い能力発揮できる土木界に

2025年6月6日 行政・団体 [2面]

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 土木学会(佐々木葉会長)は、土木界の歩むべき道を示した「DEI行動宣言」をまとめた。ダイバーシティ(多様性)とエクイティ(公平さ)、インクルージョン(包摂)の三つを柱に据え、発想や価値観の違いを認め合いながら、社会資本整備に携わるすべての人が能力を発揮し、より豊かな国土・社会づくりを目指す姿を示した。土木界の発展は人と組織が欠かせず、市民の理解と参画も必要との観点から、より魅力的で能力が発揮できる土木界の実現を目指していく。
 2015年にまとめた「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)行動宣言」の内容をブラッシュアップし、性別や年齢などに関係なく機会やリソースを公平に提供する視点も取り入れた。産業界、行政機関、研究教育機関が枠組みを超えて連携を深めつつ、自らの組織で“DEI”の実現を推し進め、社会的な要請に応える社会基盤の整備につなげる。
 4日に都内で会見した佐々木会長は「より良い活動を求めていく上でDEIの考え方は外せない。同じメンバーで同じ話をしても課題に新しい見方はできない。多様な主体や経験を持っている人たちが議論の場に加わることが組織には不可欠で、土木学会もやっていきたい」と宣言に込めた思いを説明。土木界の取り組みとして多様なエンドユーザーに応じた制度・仕組みづくりを例示した点については「国土強靱化は物理的な外力に対する強さというイメージがある。コミュニティーの強靱化を実現するには丁寧なものづくりが絶対に必要で、その意味を含め制度・仕組みづくりと記述した」と述べた。
 土木学会はけん引役として行動宣言を率先して実行する。会員にも宣言の趣旨を理解し、組織や個人の行動でDEIの推進に努めるよう求めていく。同学会に設けたDEI委員会は情報の収集や発信、議論やネットワーク形成の旗振り役を担う。9月の全国大会で、今後の取り組みなどを議論する研究討論会を開く予定だ。