服装の乱れは心の乱れ--。身だしなみをたしなめられる時、定番のように言われていたフレーズも多様性重視の時代になって耳にする機会がめっきり減った。梅雨入り間近の時節柄もあり、カジュアルなファッションで出勤する人をよく見かける▼環境省の音頭で2005年に始まったクールビズ。今やアパレルなどの業界にとって夏場のファッション市場を活性化させる重要な商機になっている▼同省はクールビズにふさわしい服装としてノーネクタイやノージャケット、かりゆしウエアなどを例に挙げている。最近は汗を素早く吸収するワイシャツやしわになりにくい素材で仕上げたスーツが人気のよう▼ファッションは本来自己満足なもの。ビジネススタイルという基本線は外さず快適でありながらさりげなく自分を表現するスマートさが好印象を与えるポイントだろう▼各地から梅雨入りの便りが届き始めた。多様性が許容されているとはいえ、周囲へのさりげない気遣いもファッションセンスのうち。ボタンダウンで襟元に表情を付けたり長袖のシャツを着てラフにまくり上げたり、ひと工夫で楽しいクールビズを。