三菱地所、清水建設/トーチタワー建設が新たな段階へ/順打ちと逆打ちを併用

2025年6月17日 工事・計画 [4面]

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 三菱地所が開発する国内最高の超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」の建設が新たな段階に進む。事業では順打ち、逆打ち両工法を併用する「Shimzハイブリッド逆打ち工法」を採用。順打ち工法を採用する敷地中央部は、地下31メートルまでの掘削が完了した。逆打ち工法で構築する敷地外縁部では、地上部の鉄骨組み立てが今夏以降に始まる見通し。他にも清水建設の技術を惜しみなく投入し、国内で例を見ない大規模建築プロジェクトに万全の体制で臨む。=1面参照
 三菱地所、清水建設両社が16日、現場を報道陣に公開した。設計監理を三菱地所設計、施工は清水建設が手掛けている。建設地は東京都千代田区大手町2、中央区八重洲1(敷地面積約3・1ヘクタール)。
 同タワーは建築面積が大きいため、順打ち工法を採用すると大量の切梁を組む必要がある。地上部の着手にも時間がかかる。今回は中央部に順打ち工法、外縁部には逆打ち工法を採用。逆打ちで構築する外縁部が山留め支保工として機能し、中央部に切梁がいらない。中央部の大空間を生かし、効率的に施工できる。
 基礎杭にも工夫を凝らす。断面が円形の一般的な場所打ちコンクリート杭では、同タワーの荷重を支えるのが困難。そこで清水建設と丸五基礎工業が共同開発した「花びら拡底杭」を導入する。円の中心を4方向にずらし、断面が花びら形になった杭を打設。断面積を広げ、1本当たり約1万トンの支持を可能にする。
 地上1~9階は、鉄骨をひし形に組む「低層ダイヤグリッド(DG)構造」で構築予定。高さ385メートルに達する地上部の荷重に耐え、地震時の制震性能にも優れる。部材の接合箇所が多く、施工難易度が高い。清水建設は千葉県木更津市でリハーサルし、手順を確認するなど本番に備えている。
 工事の最盛期は2026年ころを予定。1カ月当たり5フロア程度の早さで伸びていく。上棟は27年5月ころと見通す。最盛期には約7000人が働く予定だ。
 同タワーは低層部に商業施設やエンターテインメントホール、中層部~高層部にオフィス、最高層部にホテルや賃貸住宅、展望台が入る。
 □竹原直規常盤橋プロジェクト建設所長の話□
 国内最高の建物を造るに当たり、全員がワンチームになり、上棟を目指していく。敷地はJRや地下鉄、首都高速道路など重要なインフラに近接する。関係機関と密に協議し、重大事故を絶対に起こさないよう着実に進める。