竹中工務店らが開発を進める都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の第4回実証実験が、18~20日に大阪城公園の東外堀で行われた。水上を移動する「船」でありながら人が乗って滞在できる“浮かぶ床”としての機能を備えた新しいモビリティで、観光や清掃、物流など幅広い活用が見込まれる。今回は水中・水面の環境を把握する技術やより精度の高い運行制御の在り方を検証した。
海床ロボットは3メートル四方の小型フロートに純国産の自動運転システムを搭載。人や荷物の移動のほか、水上カフェやステージ、清掃用途など、使い方次第で都市の水辺の景観や機能を豊かに彩るのが特徴だ。開発を担う竹中工務店まちづくり戦略室の高浜洋平シニアチーフエキスパートは「船ではなく建物の延長としての“床”と捉えた」とネーミングに理念を込めた。
実証では超小型の自動運転船「MICRO」も活用し、水深や障害物の有無といった環境データを収集。得られた情報を航行ルートの設定や安全対策に生かす仕組みを検証した。加えて、空間を俯瞰(ふかん)するLiDAR(ライダー)やカメラを設置し、船の位置を外から把握・制御する“ハイパーデジタルツイン”技術にも挑戦。GPS(衛星利用測位システム)の誤差を補い、数センチ単位の高精度制御を目指す。
開発は2021年から段階的に進めており、既に6号機まで製作済み。大阪市此花区夢洲で開催中の大阪・関西万博では10月2~12日に水上での景観演出を行う予定で展示とともに動く姿も披露する。高浜氏は「来年中には具体的な活用がまちの中で始まることを目指したい」と展望した。
実証実験は大阪府、大阪市、大阪商工会議所が連携する「実証事業推進チーム大阪」の支援を受けて実施。実証希望企業に対し、公有地の提供や行政・関係団体との調整支援、発信機会の創出などを通じて、技術の実用化を後押ししている。開発チームも「試行が進めやすくなった」という。