数学者で評論家としても知られた森毅氏(1928~2010年)は「人生20年説」を唱えた。自著にこう書いている。「20年くらいを一つの人生と思って、差し当たりいまの人生を輝かせることを考える。80歳までなら、一生のうち4回の人生を生きられる」(『いまを楽しむ人生論』から)▼20年の間には実にさまざまな変化が見られる。公共事業を巡っても例外でなく、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(公共工事品確法)は20年前の05年に成立した▼1990年代後半から公共事業費が減り続け、当時は競争の激化でダンピング受注が横行。懸念された「安かろう悪かろう」の悪循環を払拭し、価格と品質で総合的に優れた公共調達への転換を図ろうと、議員立法で制定されたのが公共工事品確法だった▼昨年に3回目の改正法が成立。改正建設業法、改正入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)と合わせた「第3次・担い手3法」として運用が始まった▼制定からこれまでに何が変わり、積み残された課題はあるのか。20年という一つの節目に検証し、今後を展望することも必要だろう。