国交省/既存官庁施設で更新優先度など定量評価、合同庁舎で試行着手

2025年6月23日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、既存官庁施設の改修や更新を判断する新たな指標「ポテンシャル(性能)評価」の試行を始める。安全確保や業務遂行に問題が生じる項目からなる「必須性能」と、使い勝手や運用上の制約が生じる項目からなる「付加的性能」の二つの観点で評価する仕組み。評価結果を点数化し、更新と長寿命化のどちらを優先的に選択すべきか判断できるようにする。
 試行は大規模修繕の検討が必要な時期を考慮し、築25年以上の合同庁舎を対象とする。必須性能は老朽度合いや狭あいさ、被災リスクなどを評価項目とし、100点以上で更新を優先的に検討する。付加的性能の評価項目は室内環境やユニバーサルデザイン、防犯性など。必須性能の点数が低くても、付加的性能が100点以上なら個別施設の実情に応じ老朽化対策を検討する。両方の性能で点数が低ければ長寿命化し長く使う価値があると判断する。
 新指標は官房官庁営繕部で運用する新築時の性能基準などを基に、有識者の意見も聞き作成した。直近で宿舎も含めた官庁施設全体のうち築30年以上は床面積ベースで半数を超える。改修や更新の時期を迎える施設の大量発生を見越し、施設機能を定量的に評価可能な統一指標をつくった。
 試行では全国に約400施設ある合同庁舎に順次適用し、地方整備局などの営繕職員が実地評価に当たる。実運用を通じ評価手法を改善しながら本格導入を検討。地方自治体にも情報提供し参考にしてもらう。