国交省/技能者を大切にする自主宣言制度、12月12日開始/相互に優先取引など

2025年12月4日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、建設技能者の処遇改善に取り組む企業を可視化し評価するため検討してきた「技能者を大切にする企業」の自主宣言制度をスタートする。改正建設業法の全面施行と同日の12日に申請の受け付けを開始する。適正な労務費の確保と賃金の支払い、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用などを宣言する仕組み。宣言企業間の優先的な取引を促し、受注機会の確保につなげる。宣言企業は経営事項審査(経審)で加点する。
 2日の中央建設業審議会(中建審)で経審の改正方針を説明し、詳細を明らかにした。宣言企業には必須事項として、改正業法の努力義務となる処遇確保の実践や、労務費などを内訳明示した見積書の作成を求める。
 発注者や元請は取引先が提出した見積書の内容を考慮・尊重する。CCUSは元請などに就業履歴を蓄積できる環境整備、技能者を雇用する企業には能力評価(レベル判定)に必要な「詳細型」での技能者登録を求める。取引先の選定で、同様に宣言している企業を優先するよう考慮することも必須となる。
 宣言企業は国交省のホームページで公表する。3日には宣言企業がPRなどに使用できるロゴマークと愛称「職人いきいき宣言」を公表した。12日からの申請はポータルサイト(https://jishusengen.mlit.go.jp)で受け付ける。内容や取り組み開始日を記載した宣言書を提出してもらう。
 経審では「W点(その他の審査項目〈社会性等〉)」の加点項目に企業の宣言状況を追加する方向で、委員らの了承を得た。関係する省令改定などを経て来夏にも施行する。宣言した取り組みの開始予定や実施状況に関する誓約書の提出を加点要件とする。配点の仕組みは、CCUSの就業履歴蓄積の体制整備を民間工事も含む全現場で行う企業を対象に、配点を15点から10点、全公共工事で行う企業の配点を10点から5点に変更。減らした5点を宣言企業の加点に充てる。