近所の中学生と保護者が為替の動向に気をもんでいる。夏休みに中東経由で南米に旅立つ予定があり、日本円を米ドルに両替する必要があるとか▼外国のお金に対して円の価値が高くなると「円高」、その逆だと「円安」。大人でもきちんとできるか怪しい円安と円高の説明。中学生は南米への旅路を機に、為替の基本を勉強しているそうだ▼戦後80年の今年、戦争体験を語り継ぐ催しが多く行われている。町内会の掲示板には「空襲と戦争を語る会」と題し、後世に伝え続けるべきことを話してくれる講座の案内が追加された▼イスラエルとイランに米国が絡み攻撃の応酬が起こった中東。外国の言う対話とは実力行使を含むと思わずにいられない。12日間にわたる紛争は停戦に合意したが、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議では国防予算の目標が引き上がる見通しとなった▼命の危機より先に為替が気になってしまうのは、平和の中にいるからだろう。中東に限らず世界規模での永続的な和平実現への難路は今後も続くのだろう。今の自分に一体何ができるのか、語る会や戦争体験者の貴重な話にしっかり耳を傾けたい。