国土交通省は公共工事の施工時期の平準化を「閑散期のボトムアップ」と「繁忙期のピークカット」の両面から推進するに当たって、地方自治体発注工事の現状を県域別にまとめた。年度初めの4~6月だけでなく、年度終わりの1~3月の閑散・繁忙度合いを把握し、年間を通じた工事稼働の波を小さくすることに生かす。2023年度の実績を見ると、奈良県内や福岡県内の自治体発注工事で繁閑差が特に大きくなっていることが分かる。
国交省は24年6月公布・施行の改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を踏まえ公共発注者の取り組みを見える化する指標を刷新。「第3次全国統一指標」として運用を始める。繁忙期のピークカットなどを新たに指標化し、25年度以降の目標値を今秋以降、地域ごとに設定する。
施工時期の平準化状況を把握する従来の指標では、県域単位の自治体発注工事を対象に4~6月の平均稼働件数を年度全体の平均稼働件数で割って「地域平準化率」を算出。新指標では同じ方法で1~3月の稼働状況を算出し、地域平準化率を二つの数値で把握する。これを地域ブロック・県域単位で見える化し、4~6月の閑散期の稼働を増やし、1~3月の繁閑期の稼働を減らすよう促す。
ただ23年度の実績を見ると、北海道や東北、北陸といった積雪地帯で1~3月の平準化率が「1」を下回り稼働が少ない地域も散見される。こうした実情も踏まえ、国交省は以前から推進する閑散期のボトムアップを全国共通で優先的に取り組むべき事項と位置付けつつ、これに支障がない範囲で繁忙期のピークカットに取り組むよう働き掛けていく方針だ。冬季の制約などによってはピークカットの指標を現状維持することも認める。
国交省は新指標の運用を踏まえ「さしすせそ」(債務負担行為の活用、柔軟な工期設定〈余裕期間制度の活用〉、速やかな繰り越し手続き、積算の前倒し、早期執行の目標設定)と称して働き掛ける平準化対策の取り組み事例集も刷新し、26年1月にも作成・公表する。