1日付で就任した国土交通省の石井宏幸官房上下水道審議官は日刊建設工業新聞などの取材に応じ、「最重要の基礎インフラとして強靱で質の高い上下水道を次世代に引き継いでいきたい」との思いを語った。「上下水道インフラマネジメントの再構築」と「上下水道の経営基盤の再構築の二つの再構築」の“二つの再構築”を重点テーマに設定。2025年度は「重要施設につながる施設の耐震化」と「上下水道相互のキャッチアップ」の2施策に力を注ぐ。
施設の耐震化では、管路の耐震化率を「上下水道一体化の一つの象徴的指標」と位置付け、「(耐震化率を)高めるため改善すべき余地があれば方策を検討し、地方自治体に取り組みを促していきたい」と述べた。
上下水道相互のキャッチアップは上水、下水それぞれの良いところを知り、高め合うような組織運営をイメージ。「(上下水道の)互いの良いところを取り入れていく努力をしていく」方針だ。
1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は、下水道行政に大きな課題を突きつけた。有識者検討会の提言に沿って「リダンダンシー(冗長性)を確保するため必要な施策を一つ一つやっていく必要がある」と指摘。一方、「下水道分野ではウオーターPPPの案件が過剰になり、民間の能力を超えつつあるように思う」と懸念を示し、広域化と官民連携を両輪で進める必要があるとの考えも示した。
(いしい・ひろゆき)1992年岡山大学大学院工学研究科修了、建設省(現国土交通省)入省。水管理・国土保全局下水道部下水道事業課長、官房参事官(上下水道技術担当)を経て、1日から現職。趣味はマラソンと登山。広島県出身、57歳。