関東整備局/建設現場での熱中症報告11件/WBGT31以上は12日、注意喚起図る

2025年7月16日 行政・団体 [5面]

文字サイズ

 関東1都8県の国直轄工事の現場で建設作業員が6月以降、医療機関で熱中症と診断された件数が11件だったことが関東地方整備局の調査で分かった。運動中止などを呼び掛ける暑さ指数(WBGT)が31以上を記録した12日間で、熱中症を訴えたのは7件。同局は調査データを使いながら熱中症予防の注意喚起を図る。建設現場の安全性向上につなげる。
 同局がWBGTと熱中症の報告件数を関連付けたデータをまとめたのは初めて。折れ線グラフがWBGT、棒グラフが熱中症の報告件数で13日時点のデータとなる。
 WBGTが31以上を記録し、熱中症が1日に2件報告されたのは6月17日と19日、2日の計3日間。1件だったのは同2日と16日、7~9日の計5日間だった。同2日はWBGTが23・7だったが、体が暑さに慣れてくる暑熱順化が不十分だったのが理由と考えられる。
 熱中症による死傷災害は拡大基調にある。厚生労働省が調査した休業4日以上の死傷者数(全国)は、コロナ禍だった21年度が直近4年間で最も低く、561人だった。22年度827人(死亡者数30人)、23年度1106人(31人)、24年度1257人(31人)だった。
 国は熱中症リスクの軽減と職場環境の改善を狙い、労働安全衛生規則の一部を改正し6月に施行した。症状を訴える作業員を見つけ次第報告するよう求めたり、重篤化を防止するために必要な措置を講じたりするよう義務付けている。
 屋外作業の多い建設業の場合、熱中症を受けやすい。関東整備局は熱中症対策の充実を狙い、発注工事で猛暑日を考慮した工期設定を行っている。1日の間でWBGTが31以上の時間を日数換算し、5年間の平均値から「猛暑日日数」を割り出す。雨休率に組み込んで工期を算定する取り組みに加え、工期延伸に伴う費用の増額計上も認めている。
 WBGTは4段階に区分されている。31以上は原則運動中止、28以上でもこまめな水分補給と激しい運動の中止を呼び掛けている。