三井不動産が半導体分野の産業振興を目指す共創基盤「RISE-A(ライズエー)」を立ち上げた。半導体産業はこれまで設計から製造までを一つの企業が担う「垂直統合型」が主流だったが、台湾などでは各工程を多数の企業が担う「水平分業型」を採用し、大きなシェアを占める。共創基盤ではメーカーや、半導体を組み込んだ製品を作る企業、行政など多様な主体の連携を促進。技術革新や価値創造につなげる。三井不は共創基盤と連動したサイエンスパークの開発にも意欲を示す。
16日に東京都内で開いた記者会見で発表した。ライズエーは一般社団法人の形を取る。理事長には青色LEDの開発を手掛け、ノーベル物理学賞も受賞した天野浩名古屋大学未来材料システム研究所未来エレクトロニクス集積研究センターセンター長が就いた。
天野氏は海外で主流化した水平分業型に対し「やることが固定化し始め、新しい物を生み出す流れができにくいと感じる」との見方を示した。「新産業の創出には異分野の人々が集まって議論する場が必要ではないか。ライズエーはそうした場を提供できるのではないかと思う」と意義を強調した。
副理事長に就いた三井不の山下和則常務執行役員イノベーション推進本部長は「研究開発・製造の拠点として賃貸ラボ『三井リンクラボ』の活用や、サイエンスパークの整備を構想している」と説明。行政などが事業者を公募する将来を見据え「選定されれば力を最大限発揮し、日本を代表するサイエンスパークを形成できる」と強調した。
設立に当たり、台湾の工業技術研究院(ITRI)など複数の機関と連携協定を結んだ。本拠地としてスルガビル(東京都中央区日本橋室町1の7の1)にシェアオフィスを整備し、会員企業に貸し出す。今後は年間100社程度の新規加入を目指す。