富士ピー・エスが福岡県小竹町御徳の同社九州小竹工場で進めるリニューアル工事の最終段階となる新事務所棟が着工を迎え、15日に地鎮祭が開かれた。建物規模はプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)造2階建て延べ776平方メートル。鋼板ダンパーを用いた制震構造を採用し、同社のPCaPC技術をPRする場となる。設計は西日本技術開発(福岡市中央区)、施工は英建設(小竹町)が担当。2026年3月に完成する予定。
地鎮之儀では富士ピー・エスの梅林洋彦取締役兼執行役員副社長が刈初(かりそめ)之儀、西日本技術開発の小副川学常務建築本部長が穿初(うがちぞめ)之儀、英建設の桑村英樹社長が力強く杭打(くいうち)之儀を行った後、祭壇に玉串をささげ、工事の安全と円滑な進捗を祈念した。
新事務所棟は1階が来客対応スペースと会議室、2階が職員専用スペース。室内からPC部材や制震装置を見ることができる。富士ピー・エスは中高層建物向けに安価な鋼板ダンパーによる制震構造を取り入れたPCaPC技術の提供を目指しており、新事務所棟の建設はその実用化に向けた試験的な取り組みとなる。
PCaPC造の特徴を生かしつつモダンで機能的なデザインとし、各階の階高やスパンを共通化してPC部材の汎用(はんよう)性を高めた。
リニューアルは建物や設備の老朽化に加え、今後の工場製品の需要増を見越して計画。22年度に着工し、製造棟や型枠倉庫・鉄筋加工センターなどが完成しており、4期工事の新事務所棟と外構工事で完了する。事業費は約34億円。リニューアルにより建物内で天候の影響を受けず作業できるようになり労働環境が改善される。同工場の製造能力は約2割増の年間6万トン程度に増強される見込み。
神事後、梅林副社長は「働く環境を良くし、製造能力を強化して両輪で業績を伸ばしていきたい」と述べ、工場製品の活用促進により建設業界の生産性向上や担い手不足の解消にも貢献する考えを示した。