東京・新宿区/住宅供給促進型を廃止、大規模開発に新たな規制

2025年7月17日 行政・団体 [4面]

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 東京・新宿区は区内で大規模マンションや再開発ビルを建設する際の都市開発制度を見直した。都市の防災性や環境への配慮、地域との共生を重視したまちづくりを進めるのが目的。15日付で「住宅供給促進型」と呼ばれる容積率緩和措置を廃止し、関連する都市開発諸制度の基準を改定・施行した。
 区は3月に策定した「新宿区マンション等まちづくり方針」に基づき従来、住宅整備を公共的な貢献とみなして容積率を300%から500%まで認めていた制度(住宅供給促進型)を見直した。安易な大規模住宅開発を抑制し、地域の特性や住環境に即した持続可能な都市づくりを促進する。
 区は1990年代以降、人口減少と住宅不足対策として再開発時の住宅併設を義務付けるとともに、「住宅供給促進型」制度を導入し、容積率の大幅な割り増しを認めてきた。現在、区内ではマンション建設が活発化し、現在は住宅戸数が人口を大きく上回る状況となっている。
 区は住宅の「量」よりも「質」を重視する方向への転換を決め、再開発時の住宅義務付けや大規模容積率緩和の見直しを行った。
 今回の改定対象となった制度は▽再開発等促進区を定める地区計画▽高度利用地区指定方針・指定基準▽特定街区運用基準▽総合設計許可要綱-の四つ。いずれも容積率や地区指定に関わる基準と運用が見直された。
 住宅供給促進型の廃止に伴い、経過措置として2027年3月31日までに必要な図書を新宿区に提出した場合は、旧制度の適用が可能となる。