飛島建設とアクシスウェア(東京都港区、西内克至代表取締役)は現場作業所に設置されたネットワークカメラの映像を活用し、荷役作業や脚立使用時の不安全行動を自動検出するAIシステムを開発した。市販のネットワークカメラで撮影した映像を利用でき専用機器の導入が不要。現場ではカメラの設置方向を調整するだけで運用できるため、ハードウエアの調達コストや現場側の運用負担を大幅に軽減する。
不安全行動を自動検出するAIシステムは、安全管理業務を効率化するDX推進の一環として開発、現場に展開している。▽作業所のネットワークカメラ▽不安全行動モデルを検出するAI推論実行▽検出結果確認のウェブアプリケーション-などの機器や技術で構成する。
作業所に設置したネットワークカメラの映像を蓄積し、不安全行動に該当するシーンを収集しAIに学習させる。映像から人物やトラック、脚立などの不安全行動に起因する物体の検出や人物の姿勢推定、領域、位置関係を特徴量として抽出。その内容から不安全行動を学習するマルチモーダルモデルを構築した。
検出結果確認ウェブアプリでは不安全行動の検出結果とともに、日々の検出件数推移や不安全行動の種類をグラフなどで確認できる。各作業所の安全意識の傾向を分析することが可能。AIの検出結果に対する正誤チェック機能も備える。日々のシステム運用を通じAIの精度向上を半自動的に実現する仕組みを実装している。
2024年8月から現在まで累計4件の建築作業所(ネットワークカメラ計7台)で運用。現場では前日に収集した映像データを夜間にAIが推論処理し、作業所職員が確認した結果は翌日の朝礼やKY(危険予知)ミーティングなどの場で反省や安全意識の向上に生かしている。今後も適用可能な現場に順次導入していく。