日建連/長期ビジョン策定/50年のあるべき姿示す、新4Kへ35年までの具体策も

2025年7月23日 行政・団体 [1面]

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 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、建設業全体を俯瞰(ふかん)し中長期的な方向性を示した新しいビジョンを策定した。「建設業の長期ビジョン2・0-スマートなけんせつのチカラで未来を切り拓く-」と題し、2050年までの超長期的なスパンで時代を概観。50年の建設業の姿や役割を示している。35年までの建設市場や担い手の推計をした上で具体的な方策も提示。生産性向上や担い手確保を進め、新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)の実現を目指す。=2面に関連記事
 新長期ビジョンは、建設業に期待される役割やあるべき姿を示すことで建設業がさらに進化していく道筋を示している。50年を目標に据えることで若手に夢と希望を抱いてもらうとともに、建設業の将来への理解を深める狙いがある。
 日建連は「技能労働者の減少は止まらず、処遇改善も道半ばの状況にある」と現状に警鐘を鳴らした。50年までに生産年齢人口が3割近く減少するとの見通しを踏まえ「他産業との人材獲得競争がますます激化する中で、建設業の将来の担い手不足は10年前と比べてより深刻化している」とも分析した。
 新長期ビジョンでは、技能労働者の不足人数の見込みを算出した上で、入職者の大幅な増加を図る必要があり、処遇改善などに努めていくとの方針を示した。建設業の持続可能性を高めるには、外国人材も日本人と同様に重要な担い手と捉え、育成就労制度なども有効活用しつつ、誰からも選ばれる建設業となる環境を官民一丸で整備することが必要と訴えた。多様な人材が活躍できる環境を整えるため、「けんせつ小町活動」をさらに加速し、女性就業者数100万人(うち女性技能労働者数20万人)を目指すなど、さまざまな施策を講じていく。
 AIやITなど日進月歩の技術を柔軟に取り入れ、スマートな生産体制への段階的移行と供給力不足への対応を強化していく。競争領域と協調領域を戦略的に区分。建設現場の施工オートメーション化とスマート化、デジタル技術を活用した建設プロセス全体にわたる省人化や省力化を喫緊の課題に挙げた。デジタル技術を活用した建設プロセス全体にわたる省人化・省力化では、25年比で生産性の25%向上を目標に掲げた。
 賃金の持続的向上では、全産業平均を上回る水準に向け、年平均7%以上の持続的な賃上げで技能労働者の「所得倍増」を目指す。40代での平均年収1000万円超を目指す。全建設現場で「土日祝日(夏季、年末年始休暇を含む)一斉閉所」を実現。技能労働者の意欲や環境などに応じ多様な働き方や休み方が選択できる環境も検討する。
 宮本会長は「建設業の中長期的な方向を示す共通の指針として、建設業に関わる多くの関係者にとって活動の手がかりとしてほしい」としている。