国土交通省と日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は5、6月に全国9地区で行われた意見交換会の内容を踏まえた対応を話し合う会合を始めた。資材価格などが高騰する中、予算上の制約から工事数量の減少や工事打ち切りが多発する現状を問題認識として共有。受発注者それぞれの立場で実態を把握し、打開策を検討する。時間外労働の上限規制への対応も深掘りする。物流や生コン・クレーンなど関連業界の働き方改革を見込んだ工期や歩掛かりの設定を目指す。
25日に東京都内で2025年度意見交換会フォローアップ会議の初会合を開いた=写真。実務者レベルで議論し複数回の会合を経て年度末までに成果をまとめる。初会合の冒頭、奥田晃久官房技術調査課長は「課題を共有し、どうすれば解消されうまく回るのか議論させてもらいたい」と呼び掛けた。
日建連の提案を受ける形で議題を固めた。議論は非公開で行われる。工事打ち切りなど予算面の課題は発注者側で制約が掛かりやすい工事種類や現場特性などを把握し、予算管理と発注条件の適正化につなげる。
働き方改革関連は上限規制対応と書類削減・簡素化、工期設定の適正化・条件明示を取り上げる。昨年度に引き続き資機材の運搬、ポンプ車やクレーン車の稼働の制約によるコストや工期への影響を見極める。生産性向上関連は▽新技術・新工法の現場実装▽プレキャスト工法の活用拡大▽ICT活用による施工管理の効率化-の三つを議論する。
担い手確保関連は若手技術者の育成・定着へ、現状の運用に地域差がある専任補助者制度のルール統一化などを議論。直轄工事で本年度から試行する総合評価方式の新タイプ「技術提案評価型SI型(エスイチ型)」と、技能者の賃金や労働時間の実態把握の取り組みも両者でフォローする。