土砂研/ダム堆砂対策に土砂分級技術活用を、国交省に要望書

2025年7月29日 行政・団体 [2面]

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 ダム水源地土砂対策技術研究会(土砂研、会長・清水琢三五洋建設社長)は25日、国土交通省との意見交換会を東京都千代田区の都市センターホテルで開いた。土砂研が開発した土砂の分級技術を用いたダム堆積土砂対策を巡って意見を交わした。意見交換した後、土砂分級技術の活用と、分級した堆積土砂を資源に再利用するスキームの構築などを盛り込んだ提言書を林正道水管理・国土保全局長に手渡した。意見交換には水源地環境センター(平井秀輝理事長)も参加した。
 意見交換会で清水会長は「分級をしっかり行えば、土砂を資源として販売でき、公共事業として一定の支援があれば、機械の改修などにつなげられるメリットがある」と強調。勢田昌功代表理事も「一昨年までのダム現場での実証実験で、一定の技術を確立できた。これまで未利用だったシルト質の土砂についても対応できる」と述べ、今後は再生利用の仕組み作りが重要になると訴えた。
 その上で▽ダム堆積土砂の有効利用に向けた仕組みづくり▽流域全体での土砂管理戦略の推進▽ダム再開発等のプロジェクトへの適用▽ダム堆積土砂対策としての分級技術の導入促進▽ダム堆積土砂対策の効果可視化と広報強化-の5項目を提言した。
 具体的には、ダム再生事業の実施時に土砂分級の設備を公的に設置するよう提案。各浚渫事業者に貸与する仕組みや、再生利用時の土砂販売によりコストを縮減する方法などを挙げ、モデルダムを指定し社会実装を進めるよう要望した。
 国交省側は「分級技術というものは、まさに治水と利水、環境をつないでいく技術。うまく実装につながっていければ良いと思う。地域のために役立つよう一緒に考えていきたい」と応じた。