土木学会(池内幸司会長)ICT教育特別委員会(蒔苗耕司委員長)は、「土木分野におけるICT/DX教育・人材育成のあり方」と題する報告書をまとめた。土木技術者に対するICT教育の体系や、大学・高専と民間企業でのICT教育の現状と課題、教育の在り方を整理。専門科目にICT教育を組み込む「既存科目型」や、情報系学科との連携による「クロスプラットフォーム型」など、現場の制約を踏まえた柔軟な教育導入の方策を提案した。
同特別委が土木工学関連学科を持つ大学・高専にICT教育の現状と課題について調査したところ、「2DCADは多くの学校で導入されているが、3DCADやCGの導入についてはまだ3割程度の学校で未導入であり、学校間での取り組み格差が大きくなっている」との指摘が挙がった。
測量系科目では測量士補科目との関係で比較的導入が進んでいるが、専門科目(構造、材料、地盤土質、水理、河川、港湾)でICT教育の導入に遅れがあるという課題も浮き彫りになった。
報告書では、ICT教育の対象者を「大学・高専の学生」「実務者(一般土木技術者)」「高度建設ICT/DX人材」の三つに区分し、それぞれに求められる教育目標、知識・スキルを設定した。ICT教育導入上の課題を考慮し、▽ICT教育科目の新規設置▽既存科目へのICT教育項目の組み込み▽他学科(情報系学科など)の提供科目の活用▽ICTツールを活用したデザイン演習の充実化-の4方策を提示した。
大学・高専段階では、土木と情報の両方を理解する人材の育成が重要と指摘。専門科目にICT教育を組み込み、建設ICTに関わる最新動向を提示する。情報系学科と連携した「クロスプラットフォーム型」といった多様な教育モデルも提案。高等教育機関の柔軟な対応を促している。
同特別委は産官学が一体となり、建設ICTの知識取得と教育・人材育成の推進方策を検討。土木技術者がICTに関する知識・技術を学び、次世代に向けてより高度にICTやDXを展開できる人材を育てることを目的にしている。報告書に関するシンポジウムを10月15日に開く予定だ。