岐阜県飛騨市は、市民病院あり方検討委員会の報告書を公表した。既存施設の老朽化や災害リスク対応のため、将来的な新築移転が望ましいと示した。全室個室で60床などの条件でシミュレーションした場合の延べ床面積は6226平方メートル。概算建設費は約30億円。コスト縮減策やエリアの他医療施設との役割分担の検討の必要性も盛り込んだ。
神岡町東町725にある現病院の病床は81床。延べ床面積は6327平方メートル。供用開始から35年以上が経過し構造や設備などの老朽化が進み、多様化する患者のニーズへの対応が求められている。想定最大規模の河川氾濫の浸水想定区域に該当し、災害対策でも課題を抱えている。
このため市は2024年度、医療や福祉、行政の関係者、市民らで構成する市民病院あり方検討委員会を設置。委員会を4回開き、現状や課題の整理、提供すべき医療機能、施設整備について検討し、今年3月に報告書をまとめた。
報告書によると、施設老朽化や災害への対応に加え、医療提供体制維持に向けた人材確保の点でも新施設建設は有効と評価。医療需要の低下や建設コスト縮減の観点から機能や規模を精査し、介護医療院の併設など複合施設の可能性を示唆した。コンストラクション・マネジメント(CM)、ECI方式といった民間事業者の専門的な知見の活用の重要性も示した。
市はこれを踏まえ、市民病院の経営状況の改善に取り組みながら、将来的な施設の在り方について内部で検討を進める。