都道府県・政令市の不調・不落対策、余裕期間制度は全団体導入/国交省調査

2025年7月30日 行政・団体 [1面]

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 都道府県・政令市発注工事で不調・不落対策の導入が進展している。国土交通省が2025年度の当初時点で土木・建築工事別に各種対策の導入状況を聞いたところ、建設資材や労働者確保のため実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度は土木工事で全67団体が導入していた。土木工事の方が建築工事より導入率が高い傾向は各種対策で共通しており、自治体内の部局間で連携した対応が一層求められる。
 国交省のアンケートでは9種類の対策で導入状況を聞いた=表参照。
 各種対策のうち導入済みが50団体以上で導入率が特に高かったのは、▽余裕期間制度=土木工事67団体・建築工事53団体▽発注・施工時期の平準化=62団体・55団体▽現場代理人の常駐義務の緩和=56団体・51団体-の三つの対策だった。
 これ以外の対策メニューとして「1者応札の取り扱いの緩和」や「混合入札の導入・JV数の緩和」に取り組む団体が5団体以上ある。資材価格の高騰や労務費の上昇率を見込んだ予算編成に取り組んでいると回答する団体も多かったという。再発注での入札参加資格や工事実績の規模要件、受注件数制限、主任技術者の兼務制限といった各種要件の緩和措置を講じる団体が一部ある。
 公共事業の着実な執行に加え、地域建設業を維持していくための環境整備の一環として不調・不落対策の重要性は高い。
 24年6月公布・施行の改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)では、発注者の責務として地域の実情を踏まえた適切な競争条件や規模による発注を規定。品確法運用指針では入札参加資格や工区割り、発注ロットを適切に設定し、各工事の手続き期間や工期を考慮した発注などを促す。施工時期などの平準化に向け、財務なども含めた関係部局間の緊密な連携に努めるよう求めている。
 国交省の調査によると公共工事全体の不調・不落の発生は減少傾向にある。直近の調査実績となる23年度の入札案件の不調・不落発生率は7・2%。過去5年で発生率は最も低かった。