国交省・宿本尚吾住宅局長/省エネから脱炭素へ、ストック社会の市場環境整備注力

2025年7月30日 行政・団体 [1面]

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 1日に就任した国土交通省の宿本尚吾住宅局長が日刊建設工業新聞などの取材に応じた=写真。改正建築物省エネ法・建築基準法を4月に全面施行し、小規模住宅も含めて省エネ基準への適合が義務化された。建築物のライフ・サイクル・アセスメント(LCA)の実施を促す制度の検討が本格化する中、「建築物を“使う”ところに限らず“つくる”ところでも対応が求められる。“省エネ”から“脱炭素”へウイングを広げていく」と話し、関係省庁を交えた議論を推進する。
 2000年制定の住宅品質確保促進法に基づき性能評価・表示などの仕組みを整えることで「新築」分野の市場誘導を進めてきたが、「維持管理をきちんと見る仕組みはまだだ」と認識する。これからは「維持管理」や「既存流通」の市場環境の整備に重点を置いて取り組む意向を示す。
 25年度内に見直す住生活基本計画の検討過程で「ストック社会での市場環境整備について真剣に議論し制度設計する」考え。住生活基本計画などで打ち出した施策を具体化するため建築基準法で適切に対応するなど「住宅政策と建築政策を一体で考えないといけない」とも指摘する。
 LCAの制度化など脱炭素の取り組みは、設計実務などでどう対応すべきかなどを丁寧に議論する必要がある。「すぐに最適解を出せるものではない。(設計では)いろいろな要素を考えなければならず、そのバランスも考慮しどういう手順が最適か考えていきたい」とした。