建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は30日、国土交通省との2025年度意見交換会を東京都新宿区のホテルグランドヒル市ケ谷で行った=写真。改正建設業法で規定する「労務費に関する基準(標準労務費)」の運用が現場で形骸化しないよう、業界内の意識改革への周知・啓発と建設Gメンによる監視・指導を強く要望。労務費や必要経費を内訳明示する「標準見積書」が現場で活用される必要があるとして「(元請の所長などが)標準見積書を受け取るよう指導してほしい」(岩田会長)と訴えた。
改正業法が12月までに全面施行し標準労務費の運用が始まる。建専連は、標準労務費の実効性ある活用を意見交換のメインテーマに据え、建設Gメンの実地調査を通じた「現場の第一線」のマインド転換を呼び掛けた。
岩田会長は技能者の雇用に伴って会社が負担する必要経費が確保されない状況では、賃金支払いの実効性も確保できないと主張。労務費と必要経費は「競争の対象外であると、線引きを明確にしてほしい」と話した。専門工事業団体で標準見積書を作成する際に、明示すべき経費の項目などを建専連内部で整理する意向も示した。
現場の労働環境を改善するため適正な工期の確保に向けた支援・制度整備も要望。特に夏場は過酷な状況に置かれるため、公共工事の「8月休工」の試験的な導入も提案した。国交省は、関東地方整備局宇都宮国道事務所発注工事で7、8月の現場作業を休止する試行を始めたことを紹介し「効果や課題を検証し、効果を確認できた取り組みは全国展開していきたい」(官房技術調査課)と返答した。
岩田会長は、若年層が求める働き方を提示することが担い手確保の第一歩になるとして「8月休工はあくまで一例だ。建設業として休み方のキャッチーな提案を始める必要がある」と強調。国交省直轄工事での試行が先導役となり好事例が広がることに期待した。
意見交換を振り返って発言した国交省の楠田幹人不動産・建設経済局長は「建設Gメンの機能を果たすため、どういったものをチェックし、その際に何を伝えていくべきか、効果的・効率的な活用の在り方を考えさせてもらいたい」と要望を受け止めた。休日確保の在り方は「働く側から見て魅力的なものを考えていく必要がある」と応じ、変形労働時間制をより活用しやすくすることも検討課題に挙げた。