国交省・林正道水管理・国土保全局長/防災・危機管理が最重要、長期的視点で事前復興

2025年7月31日 行政・団体 [1面]

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 1日付で国土交通省水管理・国土保全局長に就任した林正道氏が日刊建設工業新聞など専門紙の取材に応じ=写真、「防災、危機管理が一丁目一番地の仕事。激甚化、頻発化する災害に負けないよう流域治水などに取り組む」との方針を示した。災害への備えとして「事前復興」の重要性を指摘。「長期的に見れば財政負担軽減につながる。物価高騰や人件費上昇が続く厳しい状況だが、社会全体で同じ方向を向き、対策を進めることが重要だ」と述べた。
 治水だけでなく、水系ごとに利水、環境を三位一体で進める「流域総合水管理」が重要とし、施策の具体化に取り組む考え。「ベストな対策は流域ごとに異なる。一つずつ勉強しながら施策を練り上げていきたい」と意欲を見せた。
 新技術も積極的に活用していく。治水能力を高める高精度な降雨予測技術や、発電効率を最大化するハイブリッドダムなどを挙げ「一つの施設を賢く使うことが可能になった。出水期、非出水期だけでなく、時間やタイミングに応じてより細やかに運用し、効果を高めることができる」と展望した。
 政府が6月に閣議決定した第1次国土強靱化実施中期計画については「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を上回る事業規模を確保し、物価高などへの対応も盛り込まれた。非常にありがたい」と述べた。その上で「強靱化の必要性は社会に浸透してきたが、具体的な施策を進めるには事前防災の重要性をきちんと理解してもらうことが大事だ」との考えを示した。
 インフラの老朽化対策では「埼玉県八潮市で起きた事故の教訓をしっかり河川分野にも展開し、特にポンプ場などの設備の老朽化対策に取り組みたい」と話した。地方自治体とも連携しながら最新技術を積極的に活用し、インフラマネジメントに取り組む構えだ。