厚生労働省は、次期建設雇用改善計画を年度内にも策定する。現行の第10次計画が2025年度で期間満了を迎えるため、改定に向けた具体的な議論に入る。業界団体や労働組合などからヒアリングを行い、論点整理を経て年内にも素案を示す予定だ。次期計画の計画期間は26年度からの5年間となる。深刻化する人材不足への対応や27年度に育成就労制度が始まる外国人労働者問題、熱中症対策などが論点となる見込みだ。
7月30日に開いた労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設専門委員会(委員長・勇上和史神戸大学大学院経済学研究科教授)で、今後のスケジュールを明らかにした。9月上旬に開く次回会合から、改定に向けた具体的な議論に入る。
9月中に同委員会を2回開催し、国土交通省や労使双方の団体から意見を聞く。業界団体は日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)、全国建設業協会(全建、今井雅則会長)、建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)の3団体が参加。労働者側としては全建総連、日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)、日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)からヒアリングする予定だ。
10月中旬に論点整理を行い、11月下旬~12月上旬に次期計画素案を提示。26年1月下旬に開く会合で計画案を取りまとめる。その後、親会である基本問題部会に報告し、同3月末に正式決定する。
7月30日の会合では、現行の第10次計画の実施状況のフォローアップを行い、次期計画策定に向けて意見交換した。委員を務める蟹沢宏剛芝浦工業大学教授は次期計画に向けた検討の枠組みとして「育成就労制度への移行に伴う外国人労働者問題」「建設キャリアアップシステム(CCUS)のさらなる活用」「酷暑問題」を提示した。
委員の岩田建専連会長は「外国人労働者の多能工化推進のため在籍出向のような柔軟な働き方を検討できないか」と提案。熱中症対策についても「夏の間の猛暑は命に関わる問題だ。夏休んで春秋にもっと働くなど大胆な改革が必要ではないか」と指摘した。
今回から委員に加わった沼田土建(群馬県沼田市、青柳剛社長)の吉田美由紀企画室長は外国人労働者について「一人前の技術者の育成には時間がかかり、1企業で育てるのは負担が大き過ぎる。それでもなお外国人に頼らないといけない実情を知ってもらいたい」と訴えた。