◇建設業で取り組み拡大
建設業界でダイバーシティーの取り組みが広がってきた。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)のけんせつ小町委員会がまとめた「ダイバーシティ推進に関わる日建連会員会社の制度関係の事例(概要)」によると、年次有給休暇は法律(20日)よりも多い企業(最大25日)や初年度から20日付与する会社があり、時間単位の有給休暇制度を5割以上の会社が設けていることが分かった。女性特有の休暇では、不妊治療を対象とした休暇制度が増えていることも確認。男性社員も利用可能な出生サポート休暇もあった。
対象企業は日建連けんせつ小町委員会担当33社。調査期間は2024年11~12月。年次休暇や生理休暇、育児や介護の支援に関連する制度、育児や介護に対するフォロー体制などをまとめた。会員企業各社で育児や介護など含むダイバーシティー制度の事例を盛り込んだ。
年次休暇では、法定を上回る付与日数(最大25日)や、初年度から20日を与える社があった。積立制度の導入も進み、私傷病や介護、不妊治療、ボランティアなど幅広い用途に対応する先進事例が見られた。生理休暇は、時間単位での取得を可能としPMS(月経前症候群)や更年期、つわりで取得可能な有休や不妊治療を対象とした休暇制度が増えている現状が分かった。
育児支援では、法定の「1歳に達する日まで」を育児休業期間としている中で「満3歳に達するまで」を期間としている社もあった。「産後パパ育休」もほぼ法律通りで運用する社が大半だったが「子ども1人につき2回まで」の規定を「回数制限無し」で運用している社も見られた。給与・賞与を100%保証する社もあった。
日建連は会員企業・会員以外の企業が制度を作成・更新する時の参考にしてもらいたい考え。「特長的な事例に関しては建設業のみならず一般企業でも遜色ない、むしろ非常に進んだ制度を導入している」と評価している。一方、「利用率の低さや、そもそも会社の制度を認知していないこと」を課題に挙げた。