国土交通省は地方自治体発注工事を対象とした建設業退職金共済(建退共)制度の履行確認に関する最新の調査結果をまとめた。公共発注者は元請受注者の提出書類を確認し、掛け金の適切な購入・納付をチェックする必要がある。証紙貼り付け方式では工事完成時の確認が徹底されておらず、口頭での聴取や事務負担の増大を理由に書面で確認していない自治体が16%あった。元請から電子申請方式での確認書類を受領したことがある自治体は26%と少なく、電子申請の利用促進が求められる。
都道府県・政令市と人口10万人以上の市区、各地域ブロックの人口が多い10団体の計421団体にアンケートへの協力を依頼し373団体が1、2月に回答した。調査は2022年度から毎年度実施している。
国交省は公共発注者に工事の契約時と完成時、それぞれ特定の書類を元請に提出してもらい履行状況を確認するよう求めている。確実な掛け金納付・退職金支給や、受発注者双方の事務作業を効率化する観点から、建設キャリアアップシステム(CCUS)を利用する現場などで電子申請方式の活用が有効と訴える。
特に適正履行が確保されていないとの指摘がある証紙貼り付け方式の対応は、契約時に書類を提出させていない団体が2%にとどまり以前より改善。完成時に書類提示を求めていない団体は16%で、1年前の調査とほぼ同じ結果だった。完成時の確認が未実施の団体は市区レベルで多く、小規模な自治体ほど手が回っていない実態がありそうだ。完成時の確認にCCUSの就業履歴を活用したことがある団体は7%と少数だった。
電子申請方式を利用している元請から履行確認に関する書類を受領したことがある団体は、都道府県・政令市で4割を超えたが、市区では2割程度だった。10月には電子申請方式の新システムが供用を開始する予定。CCUSの就労履歴と建退共の掛け金納付のデータ連携が完結することで電子申請方式の利用拡大に弾みが付くとみられる。