日本政策投資銀行東北支店は4日、2025年度の東北地域設備投資計画調査を発表した。全産業の設備投資額は24年度比1・0%減の5475億円となった。非製造業は伸びたものの、製造業が8・7ポイント落ち込み全産業合計で昨年度の増加から再び減少に転じた。医療品向け設備増強が一服した科学や電気自動車(EV)関連部品の工場新設に区切りがついた電気機械の大幅な減少が影響した。建設(非製造業)は前年度比1・7%減の202億円だった。
全国の9140社を対象にアンケートを実施し、7月3日までに5238社が回答(回答率57・3%)。新潟県を含む東北エリアに本社を置く企業は946社のうち647社(68・4%)が答えた。
設備投資計画の内訳は、製造業が前年度比8・7%減の2967億円、非製造業が10・2%増の2509億円だった。製造業は工場新設を見込む一般機械や生産性向上を進める食品が増加するものの科学、電気機械の大幅減が影響し前年度を下回った。非製造業は再開発、改修工事が終了した不動産などが減少。一方、物流施設や店舗を新設する卸売・小売、ホテルへ投資するサービスなどが増加したため全体で前年度を上回った。
県別の内訳(全産業)は、青森が0・8%増の570億円、岩手が7・9%増の368億円、宮城が4・7%減の885億円、秋田が15・5%増の531億円、山形が21・3%減の361億円、福島が22・9%減の890億円、新潟が15・5%増の1869億円。山形、福島ともに科学や電気機械などの減少により2桁減となった。
設備投資の下振れリスクになる外部要因は「物価上昇」が69・6%と最多で、「人件費上昇」(64・9%)、「人手・後継者不足」(50・2%)などと続いた。「人手・後継者不足」や「インフラ老朽化」「高齢化」などの割合が全国平均に比べ高かった。
同東北支店は「人口減少や高齢化を背景とした人手不足が東北の特徴的課題になっている」と指摘。加えて、米国の関税強化に触れ「直近の影響はないものの『不確実性により投資を見送る』との意見も見られ、今後設備投資が鈍化する可能性もある」と危惧した。