国交省/標準労務費作成で統一方針/民間主体職種など、歩掛かり設定に複数パターン

2025年8月7日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、建設工事の職種別に検討している「労務費に関する基準(標準労務費)」の統一的な作成方法を提示した。「公共工事設計労務単価×国交省直轄工事で用いられている歩掛かり」での作成を基本としつつ、公的な歩掛かりがない一戸建て住宅関係の職種では実態調査で把握した歩掛かりを計算式に当てはめる。民間工事主体の職種などで標準的・中立的な歩掛かりデータの把握が難しいケースも想定。標準労務費を明確な数値で定めず「現場に応じ適正に見積もった歩掛かり」を適用するという形で、文字によって表現するパターンも提示する。=2面に関連記事
 6日に開かれた標準労務費に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループで説明した。
 標準労務費は単位施工量当たりの労務費の目安として示す。価格交渉時に参照できる労務費の相場観として機能させ、著しく低い見積もり・契約に行政が指導・監督する際の参考指標となる。基本的に一つの工種・作業を作成単位とし、直轄工事の積算実績データベースから標準的な規格・仕様を抽出した上で一つの数値を定める。
 現時点で専門工事業団体などとの意見交換を23職種・分野で行っており、建築と土木の区別など作成単位の細分化の程度を検討する。一部で関係団体との協議がまとまりつつあり、▽鉄筋工事(建築)▽圧接工事(同)▽型枠工事(同)▽同(土木)-の4工種で標準労務費の素案が固まった。
 標準労務費は設計労務単価をベースに作成し、民間工事に従事する技能者にも設計労務単価に相当する水準の賃金の行き渡りを目指す。過去のWGで建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別に作成すべきだとの意見が出ていた。だが、レベルの低い者を集める業者が労務費を低くし競争を有利に進める可能性もあり、工種単位の平均値として作成することを明確にした。
 高い技能を前提とする工事では個別に労務費の上乗せなどの対応を促す。設計労務単価と同じく都道府県別の数値として設定し、単価・歩掛かり改定と連動し年1回程度の随時改定を基本とする。