国土交通省は2027年4月に開始する「育成就労制度」の運用を見据え、建設分野の外国人材受け入れで整理すべき事項をまとめた。育成就労で新たに認める技能者の転籍を制限する期間の設定や、業界ニーズが大きい技能者の「在籍型出向」を可能とするかどうかが主要な論点。有識者や業界関係者で構成する検討会で合意を目指す。転籍制限を巡っては、時間をかけて育成したい企業側の意向などを考慮した期間設定が重要といった声がある。
6月に設置した「建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会」の第2回会合を7日開き、建設分野の論点として提示した=表参照。これをベースに議論を深め、11月にも成果をまとめる。
育成就労では本人意向の転籍を容認するが、受け入れ対象の産業分野別に1~2年の範囲内で転籍制限期間を設定できる。1年超とする場合は、制限を理由とした昇給などの待遇向上が必要になる。第1回会合では長く働くからこそ企業側が育成に責任を持つなどの指摘があった。将来的に1年の期間設定を目指すとしても、既存の技能実習からの切り替わりで混乱が生じないよう移行期間を設ける提案もあった。
特定技能での在籍型出向は原則不可だが、一定条件をクリアすれば産業分野別に例外的に認めることが可能と位置付けられている。建設分野ではスキルアップや「多能工化」に在籍型出向が有効との声がある。不適切な就労を助長するといった懸念に対し、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用で対応していく必要性も指摘されている。特定技能、育成就労の両制度に適用する建設分野独自の上乗せ措置も改めて検討する。
今後は外国人技術者の受け入れ方策も併せて議論する。「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留者数が建設業で急増する中、建設業法上の監理技術者・主任技術者としての登用は日本語能力や資格取得が困難なことを理由に限定的という現状にある。
両制度で就労した外国人材の将来的なキャリアアップ像としてどう提示できるかなどを論点とする見通しだ。