建設業福祉共済団(茂木繁理事長)は、年間完成工事高契約の最高補償額に当たる保険金区分に、6000万円と7000万円を新設する。ここ数年、建設労働者の賃金が上昇しており5000万円以上の示談金の支払いが急増。6000万円や7000万円が頻発している状況を踏まえ、契約者の備えを手厚く支援する。保険金区分の新設は2026年度から実施する予定だ。
福祉共済団は補償額が足りず契約を解消するケースや、契約者が補償額分の資金繰りに苦労する事態を可能な限り防止したい考え。
茂木理事長は「いざという時に補償額が不足して役に立たない保険では意味がなく、保険の役割である安心を届けることもできない。いくら安い保険を提供することで公益性が認められていても肝心の補償額が足りず相対的に高い保険にも入らざるを得ないようでは公益性を十分に果たしているとは言い難い」と指摘する。
福祉共済団は保険数理上保険金区分の最高額を6000万円、7000万円に引き上げるのは妥当であるか検証。26~28年度の3年間で、保険金区分5000万円は700件に減少し、6000万円は488件、7000万円は336件となる見込み。粗利益率は37~46%の水準で収益性は確保され、保険金区分1000万~4000万円の粗利益が毎年6億~10億円ある。こうした結果を踏まえ、新区分の新設・販売は問題なしと判断した。
福祉共済団は保険金区分の最高額を改正し、9月17日の臨時理事会と評議員会で承認した後、厚生労働省や国土交通省に認可申請の手続きを行う。保険金区分を新設しても示談金が足りないケースが存在するが、毎年、共済団が実態調査を行い、8000万円以上が頻発することがあればその都度申請するという。
茂木理事長は「認可されると、他の保険とほとんど遜色のない本格的な保険サービスが提供できることになり、建設共済保険は新時代を迎えることになる」と語った。