社会資本整備の担い手確保に向け、東北の官民が連携して取り組む人材育成が確実に根付いている。東北地方整備局や東北6県、仙台市、建設業団体などで構成する「東北土木技術人材育成協議会」は、若手技術者向けの基礎技術講習会が定着。土木やICT・UAV、インフラDX、遠隔操作式バックホウなど各コースで講習を開き、2024年度は過去最多の計1117人が受講した。本年度も同等程度の受講者数を見込んでいる。
本年度は6月30日~7月4日に第1回基礎技術講習会(土木)を開催した。土工、アスファルト舗装、コンクリート、構造物設計の工種ごとに行政や民間の若手技術者が研修に臨んだ。このうち、2日のコンクリート講習には30人が参加。座学と実習を組み合わせ、構造物の品質確保や標準示方書、品質管理手法など実務に役立つ基礎知識を習得した。
協議会に所属する建設団体や会社が講師を派遣するなど、官民共同で若手技術者を育成している。今回のコンクリート講習では日本建設業連合会東北支部会員の飛島建設から槇島修土木本部土木技術部材料施工担当部長が講師として登壇。構造物の品質確保や施工上の留意点などを解説した。実習では東北技術事務所品質調査課の担当者が非破壊試験での強度測定を実演し、参加者も実際の試験を体験した。
コンクリート講習の受講生からは「コンクリの耐久性への理解が深まった。本や動画では得られない全体的な性質などが理解できた」「品質管理試験を体験し、得られるものが多かった」などの声が寄せられた。
基礎技術講習会は、図面読解や品質管理、設計変更への対応力など実務に直結する基礎知識を習得し、演習や実技を通じて実践力を養う狙いがある。協議会は17年3月に発足し、今年で9年目を迎える。担い手育成の先駆けとして存在感を高めている。
昨年度は土木コース341人(官173人、民168人)、ICT・UAV506人(官260人、民246人)、インフラDX247人(官133人、民114人)、遠隔操作式バックホウ23人(民23人)が受講した。
基礎技術講習会(土木)は9月1~5日に第2回、10月27~31日に第3回を開催する予定だ。